memo

ジャンルのこと、サイトのことなどモリモリ書き散らしてます。CPについての語りも急に飛び出すので注意。▶︎サイトに戻る

No.15

#サイコダイバーシリーズ

「妙ですね」
 おれの横で、美空が囁いた。
「何がだい?」
 おれは訊いた。
「あそこのドアが、わずかですが、開いています」
「知ってるよ」
 おれは言った。見れば誰でも分かるようなことを、もったいぶったように言うのが、この美空のよくないところであった。
「なぜでしょうね」
「知るか」
(中略)
「わかりますか」
 そう言った。
「何がだ」
「血の臭いがします」
 美空は、その生意気な顔をおれに近づけて、小さい声でそう言ったのであった。

自分はも~~~~ここも好きすぎて気が狂うんですが……(新9巻)
とにかく毒島視点で見る美空がいい。毒島視点のおかげで美空のキャラクター性が一気に鮮やかになったな~~と思ってる。
あと毒島はけっこう的外れなことも言うんですが、この章は確かに美空がいつもよりまどろっこしいなとか、いらんことばかり聞いてるなと私は思ったんだけど、もしかして毒島の能力を見極められてないから、美空なりにそれを推し量ろうとしていろいろ聞いて確かめつつ手さぐりで毒島とコミュニケーションとってるのかなって感じがする。
だって文成とか鳳介相手なら、「血の臭いがしますね」だけ言ってさっさとドアの方に行ってただろうし。

ここで面白いのが、これより前のシーンで毒島は美空のことを「頭の回転が早い」「勘がいい」って評価してるところ。
つまり毒島側は美空が有能だって既に理解してるのに、美空側は毒島に対してそうじゃないからアンジャッシュみたいなすれ違いが起きてる。
というか毒島側は前回電話越しに「あんたが、頭がいい人で嬉しいよ」って言った時点で有能さはもうある程度把握できてたんだろうな。
ひるこ並みに息が合った相手として付いてこれそうなのに、美空がそれをしてくれないからモダモダしてる。
「勘がいい」って思われてることをこの時点の美空は知らないし、そのうえ毒島に「勘がいい」って評されてる美空がそれを察せていないところが二重に面白い(なぞかけみたいな文になっちゃった)

毒島、やっぱり職業サイコダイバーなだけあって感覚的なものを読み取る力が卓越してるんだろうな~~。
新の11巻までになると逆に息の合い過ぎたやり取りし始めるところまで味があり過ぎて何度読み返しても最高になる。

感想