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ジャンルのこと、サイトのことなどモリモリ書き散らしてます。CPについての語りも急に飛び出すので注意。▶︎サイトに戻る

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#サイコダイバーシリーズ

「妙ですね」
 おれの横で、美空が囁いた。
「何がだい?」
 おれは訊いた。
「あそこのドアが、わずかですが、開いています」
「知ってるよ」
 おれは言った。見れば誰でも分かるようなことを、もったいぶったように言うのが、この美空のよくないところであった。
「なぜでしょうね」
「知るか」
(中略)
「わかりますか」
 そう言った。
「何がだ」
「血の臭いがします」
 美空は、その生意気な顔をおれに近づけて、小さい声でそう言ったのであった。

自分はも~~~~ここも好きすぎて気が狂うんですが……(新9巻)
とにかく毒島視点で見る美空がいい。毒島視点のおかげで美空のキャラクター性が一気に鮮やかになったな~~と思ってる。
あと毒島はけっこう的外れなことも言うんですが、この章は確かに美空がいつもよりまどろっこしいなとか、いらんことばかり聞いてるなと私は思ったんだけど、もしかして毒島の能力を見極められてないから、美空なりにそれを推し量ろうとしていろいろ聞いて確かめつつ手さぐりで毒島とコミュニケーションとってるのかなって感じがする。
だって文成とか鳳介相手なら、「血の臭いがしますね」だけ言ってさっさとドアの方に行ってただろうし。

ここで面白いのが、これより前のシーンで毒島は美空のことを「頭の回転が早い」「勘がいい」って評価してるところ。
つまり毒島側は美空が有能だって既に理解してるのに、美空側は毒島に対してそうじゃないからアンジャッシュみたいなすれ違いが起きてる。
というか毒島側は前回電話越しに「あんたが、頭がいい人で嬉しいよ」って言った時点で有能さはもうある程度把握できてたんだろうな。
ひるこ並みに息が合った相手として付いてこれそうなのに、美空がそれをしてくれないからモダモダしてる。
「勘がいい」って思われてることをこの時点の美空は知らないし、そのうえ毒島に「勘がいい」って評されてる美空がそれを察せていないところが二重に面白い(なぞかけみたいな文になっちゃった)

毒島、やっぱり職業サイコダイバーなだけあって感覚的なものを読み取る力が卓越してるんだろうな~~。
新の11巻までになると逆に息の合い過ぎたやり取りし始めるところまで味があり過ぎて何度読み返しても最高になる。

感想

#サイコダイバーシリーズ

「逃げるだけなら、それで十分なんだけどね。まだやりたいことがあるんだよ」
「なんでしょう」
「逃げるついでに、やつらのひとりを捕えて、一緒に車に乗せて脱出したいんだよ」
「おそらく、ロビーやいくつかの出口に分かれて見張りがいるんだと思いますが、そのうちで、単独で見張りをしている人間がいれば──」
「あんたが、頭がいい人で嬉しいよ」
「いるんですか」
「いるはずだ。もし、来てくれるんなら、それまでに調べておく」
「動きまわって、だいじょうぶなんですか」


ア~~~~~~最高最高最高 読み返すたびに思う。
おそらく毒島の中の「外面向きの親しみ」が美空に対してMAXだったのがこのシーンだと思う。これ以降は完全に身内に対する言動に切り替わっていっちゃう。
一応解説すると、毒島と美空が電話で話している場面です。
新・魔獣狩り8巻 憂艮編。

しかしこうして読み返すと、毒島は記憶にあるより口調がやわらかくて可愛い。美空はもっとやわらかい。心配になってくるふわふわさだ。なんだ「いるんですか」「だいじょうぶなんですか」って。
ばくせんせがこの「だいじょうぶなんですか」を総ひらがなにした意図を今になって知りたい。
夢枕獏の書く男子って人外感ある行動をかなりの頻度で起こすため(例・仲間の生首を車で轢く)口調も苛烈なように思えるけど、ここぞという時以外は割と砕けるしやさしめなのいいですよね。

途中の「あんたが、頭がいい人で嬉しいよ」あたりで美空の問いへの返答を一気に数段近く飛ばしたと思うんですけど、美空の理解力が自分と同レベルにまであることを瞬時に理解&ある程度の信頼を得た毒島の思考回路が感じられるようでベネ……。

感想