TEXT
-
化けの皮
分厚い雲に覆われた薄暗いある日のこと、「魔物を退治して欲しい」という依頼のために南の国へやって来た賢者は、森の出入り口付近を一人でぶらついていた。魔物が住んでい…
-
しかくがいっぱい
ミスラは賢者に手渡された紙を、ひどく奇妙なものを見るようにしげしげと眺めた。その様子を見て、賢者はやや気恥ずかしさを覚える。ミスラが手にしている紙には、ある単語…
-
麻痺したような心中で
桜吹雪とは、こういった景色を指すのだろうか。 三月の透き通った青空の下、人気の無い校庭を歩きながら晶はそう思った。桜の花びらが風に吹かれて舞い上がり、校庭の隅々…
-
ミス晶♂(魔法使いの約束)
グランヴェル城の上で輪になって飛んでいる最中、ムルが列を乱して城へ下りようとした時、開催式の準備をした人間たちはともかく、他の魔法使いたちは皆いつものことだと平…
-
ミス晶♂(魔法使いの約束)
「あの役者さん、ミスラと同じくらい綺麗でしたね」 賢者がそう口にしたのは、魔法使い達と共に舞台を鑑賞した後のことだった。賢者にとってその言葉は、特別な意図や他意…
-
墜落
晶は教材を胸に抱いて、人気のない廊下を歩いていた。窓から差し込む夕陽で、廊下の隅々まで赤く染まっている。 赤々と燃える落日は、見ているだけでどこか感傷的な気分に…
-
文美(サイコダイバーシリーズ)
文成は今、コンクリートが剥き出しになった部屋で、四肢を拘束されていた。床に固定された椅子に座った姿勢で、両手両足をその椅子に縛り付けられている。 「さすがの私も…
-
文美(サイコダイバーシリーズ)
「早く済んで良かったですね」 秋色に染まった街路樹の下を、美空と文成が歩いている。美空の方が二歩分ほど前にいた。そのため、文成からは美空の後頭部が見えている。イ…
-
文美(サイコダイバーシリーズ)
「めでたいじゃねえか」と鳳介は言った。「めでたいだろ。仲良しになれたんだから」と。 「まあ、男同士で大人しく乳繰り合ってるなら構わねえよ」と毒島は言った。「ただ…
-
文美(サイコダイバーシリーズ)
五月の大型連休の間、何の予定も入っていなかった美空と文成は、そのほとんどを二人きりで過ごしていた。連休だからといって特別趣味があるわけでも無い二人は、出かけるこ…