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発露
ミスラの隣で幾つもの夜を明かした末に、賢者が実感していることが一つだけある。 今現在、賢者はベッドの上でミスラとじゃれあってる最中だった。仰向けに横たわる賢者の…
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肉つき
賢者と共に街に出かけたミスラは、見知らぬ女に声をかけられた。 年末を目前に控えた街は、普段以上の活気を見せており、いつもなら見られないような出店も多くある。ミス…
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代替
西の国で依頼をこなし魔法舎に帰還した賢者は、真っ直ぐに自室へ向かった。ドアを開けて、室内に足を踏み入れると、慣れ親しんだ部屋が彼を出迎える。 すると、主が居ない…
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必要ありませんよ
今日のミスラは不機嫌だった。ベッドの上で猫のように丸くなり、シーツを噛んでキシキシと歯軋りをさせている。それに、ベッドに腰掛けている賢者に対して、背中を向けて寝…
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談話室
ミスラは談話室の一人がけのソファーに座り、ひたすらに目を閉じていた。高級そうな布地で作られた、ふかふかとした肘掛けの感触を両手に感じていたが、ミスラがそれを心地…
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ドーナツ
日付が変わる直前になっても、ミスラは魔法舎に帰っていなかった。賢者はミスラの私室のベッドに腰掛け、ぼんやりと部屋主を待ち続けた。添い寝の約束をしていたわけでは無…
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無題
「ミスラのほうきって、かっこいい見た目ですよね」 深夜、いつものようにミスラの部屋を訪れた賢者は、ベッドサイドの椅子に腰掛けて、ベッドに横たわるミスラと手を繋い…
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プレート
ミスラが魔法舎の2階を歩いていると、賢者の部屋のドアに、見慣れぬものが掛かっているのに気づいた。 それは、猫の顔の形にくり抜かれた、木製のプレートだった。顔一面…
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献身
献身。彼のそれを目にするたびに、俺はいつも戸惑ってしまう。彼は見返りを求めない。下心も感じられない。だからこそ俺は戸惑い、困ってしまう。だって、俺の方はむしろ…
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夜気と紫煙
都心のマンションから、のどかな住宅地のアパートに引っ越してきたことについて、特に大きな理由なんてなかった。女の子を連れ込みすぎて、危ない思考回路の子に刺されか…