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毒美(サイコダイバーシリーズ)
美空は少し前のことを思い出していた。 地面に置かれた部下の生首を、車で轢き潰した時のことである。敵の罠である可能性があったにせよ、美空は少しも躊躇せずにその生…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「会いたかったぜ」 開口一番、毒島はそう言った。 高層ビルの屋上で、熱風じみた夏の夜風になぶられながら、美空は毒島と向かい合っていた。毒島のすらりとした長身は、…
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埋葬(鴎司)
アッ と誰かが叫ぶのが聞こえた。歩道橋を歩いていた私は、思わず立ち止まり、声のした方を見てしまった。 彼らも同じようにつられたのだろう、歩道橋下の道で何人かが同…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「鳳介の野郎は?」 美空を背後から呼び止めた毒島の、第一声がそれだった。 二人は今、小田原の御幸ヶ浜にいる。砂浜に立ち尽くし、海を眺めていた美空の元へ、毒島が後…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「紹介しますね。こちらが毒島獣太さんです」 美空の言葉を聞いて、関根はその白い手が指し示す先へ目を向ける。背の高い、驚くほどに顔の整った男がそこにいた。何故か妙…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「いやあ、本当によかった……美空先生にやっていただいて正解でした。いや、全く、何とお礼を申し上げるべきか__」 美空の住むマンションの応接室で、中年の男が皮のソ…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「何が楽しくて、男と海を散歩しなきゃならねえんだろうな」 「そう思うなら、ついてくるのをやめてはいかがです」 「ふん__」 毒島は、潮風になぶられている前髪をか…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
いつになく、ひるこの婆あが静かだった。理由は分かっている。美空の尻に見惚れているからだ。 美空が窓際に身を寄せて、向かいのビルの様子を窺っている。その背後にひる…
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水底
試したいことがあるんだ、とドクターが言った。それを聞いたテキーラは、良くない胸のざわめきを表に出さないよう努めながら「手伝うよ」と返した。お利巧な彼はもちろん…
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旅路
テキーラはよき隣人だった。 聡明で、穏やかで、他人の庭先に無理やり踏みこむようなことは何があってもしなかった。家族にもそうである。そう、彼は家族に対しても「…