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同棲クレトゥイ(1/3)
食品の買い出しから帰宅したトゥイークは、いつものように「ただいま」と口にしようとして、あることに気がつき声を引っ込めた。ドアに遮られた向こう側で、リビングの方か…
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クレトゥイ+ケニトゥイ
風のない、生暖かい土曜日の昼間だった。 僕はケニーと一緒に競馬場に来ていた。ケニーはここの常連で、この前なんか五千円でかなりの大金を当てたらしい。いつものように…
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アンダーグラウンド
トゥイークは前を行く看守の後に続いて、寒々しい廊下を歩いていた。塗装が剥げて鉄が剥き出しになった壁は、それだけでトゥイークに威圧感を与えた。トゥイークは俯いて、…
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執着と楔
シルバーアッシュと私は、恋人同士から友人関係に、一度だけ戻ったことがある。私の方から彼を振ったのだ。 その当時、私たちの間に性的な触れ合いは一切なかった。口…
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甘やかな虚構
長い戦争が終わって、三年が経った。シルバーアッシュは未だにカランド貿易を経営しており、規模をわずかに縮小しつつも、滞りなく仕事を回していた。 会社を縮小した…
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遺書
「私はね、いろんなオペレーターと友達でいるけれど、特に君とは近しい仲にあると思うんだ」 テーブルを挟んで向かい合うようにして、ドクターとシルバーアッシュがソフ…
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ホットケーキミックスと腐食死体
「責務から逃れたいと思ったことはあるか」 シルバーアッシュからすると、それはほとんどプロポーズ同然の言葉であったのだが、ドクターは眉一つ動かさず「ない」と答え…
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酩酊
ある地方都市の、その寂れた酒場にドクターが現れたのは、ちょっとした偶然によるものだった。 ドクターが店に入った瞬間、客たちは気だるげにその姿を一瞥した。しか…
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私じゃ役に立てないね
吐く息が白い。もう春先だというのに雪が降っている。ドクターは手を擦り合わせた。積もるほどには降っていない。ほんの少しの熱と風で、かき消えてしまいそうなほどにか…
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いつか、もしくは50年後に
乾いて淀んだ空気が、寝室の中に充満していた。朝ではあるものの、朝陽が室内に差し込んでくることはない。窓の外にあるのは、横殴りの吹雪ばかりだからだ。 ベッドで…