TEXT
-
遺書代わりの小説7
四年生の頃、一日の終わりにする帰りの会に、「みなさんから」という項目があった。日直の「みなさんから何かありませんか」という号令を機に始まる。 その名の通り、…
-
砕け散り、風に吹かれる花みたいにして
冬の昼間だった。空は綺麗に晴れていて、少し乾燥した空気には雪の匂いが含まれていた。 中央の市場はずいぶん賑わっていた。以前ミスラたちと訪れた冬のマーケットほ…
-
沈殿と浮上
「なにか欲しいものはある?」 男にそう聞かれて、ほんの一瞬考えた後に「お風呂に入りたいです」と晶は答えた。 「おふろ?」 「はい、昨日からずっとシャワーも浴び…
-
神さまみたいなつくりの男
午後の講義が終わって、学生たちが次々席を立っては帰り支度をしている。そんな中で、晶は席に着いたまま、ため息をついて大きく伸びをした。今日はバイトも無い。このま…
-
誰かに撒いた餌か毒
恋人から電話がかかってきたのは、午後の仕事がちょうどひと段落した頃だった。着信名を確認し、電話をつなぐ。 「フィガロ?」 雑音越しに聞こえる恋人の声に、思わ…
-
水を吐いては息継ぎをする
はじめてそこに連れていかれた日のことを、晶はよく覚えている。晶が小学二年生の時の、冬のように寒い秋の昼間のことだった。 受付をする母親の後ろ姿。いかにも待合…
-
遺書代わりの小説6
その日の中休み、クラスの女子に「四葉のクローバーを探すのを手伝って欲しい」と言われた。私は了承し、放課後にその子と校庭に出て、クローバーがたくさん生えている一…
-
銀博♂(アークナイツ)
またいつものように、シルバーアッシュが突然ロドスを訪ねてきた。手土産を持ってきて。龍門の月餅。紙袋に入ったそれを受け取りながら、「そんなにお喋りする時間はない…
-
輝かしい夜を見た
「一ヶ月ほど、音信不通になるかもしれません」 ホテルの最上階にあるレストランで、美空は突拍子もなくそう言った。それを聞いて、毒島は手を止めて言葉の続きを待ったが…
-
タル鍾(原神)
「これ、何の音?」 タルタリヤがそう言った。テーブルの対面に座る鍾離がそれに答える。 「弦楽団の演奏だろう。今日あたり、璃月港に寄ると聞いていた」 「へええ、…