一次創作
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遺書代わりの小説7
四年生の頃、一日の終わりにする帰りの会に、「みなさんから」という項目があった。日直の「みなさんから何かありませんか」という号令を機に始まる。 その名の通り、…
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遺書代わりの小説6
その日の中休み、クラスの女子に「四葉のクローバーを探すのを手伝って欲しい」と言われた。私は了承し、放課後にその子と校庭に出て、クローバーがたくさん生えている一…
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遺書代わりの小説5
小学生の頃、私は他人より少しだけ絵や文をかくのが得意だったので、何度か表彰される機会があった。表彰と言っても、ほとんどが全校集会中に壇上でやる程度のものだ。 …
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遺書代わりの小説4
小学生の頃、私はN市の一軒家に、父と母との三人で暮らしていた。 家は、私が保育園児になってから移り住んだものらしいが、狭く窮屈でボロボロだった。四年生の途中…
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遺書代わりの小説3
それは昼休み中のことだった。 私は教室で自席に座り、シール帳を広げてははいじくりまわしていた。小学四年生の頃の担任は寛容で、他のクラスなら禁止されていただろ…
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遺書代わりの小説2
「Aちゃん、音読してるときいっつもふらふらしてる」 あかねちゃんがそう言っていたのをよく覚えている。 国語の時間に行われる「音読」が、私には憂鬱で仕方がなか…
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みんなあたまがおかしいようです(4/4)
「へえ。校長室ってこうなってるんですね。あれ、あの金ピカの球みたいなやつはなんですか? サッカー部が県大会まで行った時のもの? 強いんですねうちの高校。初めて知…
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みんなあたまがおかしいようです(3/4)
私は言い訳を考えようとしている時の癖で──周囲のものをぼんやりと捉えようとした。 教室の壁に備え付けられた、放送用のスピーカー。ぷつぷつと穴が開いていて、そ…
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みんなあたまがおかしいようです(2/4)
「話を戻しますけど」 私はそう言った。本当は戻したくなんてなかったけど、そうでもしないとこのお喋りがいつまでも終わりそうになかったから。 そもそもとして、彼…
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みんなあたまがおかしいそうです(1/4)
内履きの下で、ざり、と何かが擦れ合う音がした。床一面に広がっている、砂埃のせいだろう。快いとは言えない感触だった。胸がざわめく。砂埃のせいではなく、これから起…