サイコダイバーシリーズ
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
こういう仕事をしている時の常として、業務期間を自由にできないのは仕方のないことだ。依頼があればいつであれ飛び込む。勿論俺に断る自由はあるのだが、それが女の子に…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
すっ転ぶようにして、マンションのエントランスに駆け込んでいく男の背中を俺は追いかけた。持ち逃げした封筒でスーツの尻ポケットをパンパンにした、なんとも情けない後…
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文美(サイコダイバーシリーズ)
「セーフーワードを決めさせてくれ」深夜、ベッドの上で文成が突然言い出したことに美空は「はあ」とだけ返事をした。文成はボクサーパンツだけ身につけた姿で、シーツの上…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
視界に広がる砂浜は、いかにもリゾート地らしい冴え冴えとした白さを持っていた。そのすぐ側で、夜空を映した海が、黒々と光っては波打っている。夜の海というのは、どこか…
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文美(サイコダイバーシリーズ)
「おや」 美空が声を上げる。彼の視線の先へ文成が目をやると、マンションの物陰から一匹の猫が現れるところだった。 このマンションの中には、美空の事務所が置かれてい…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
美空は、大ぶりなワインでグラッパを飲みながら、目の前にいる男を不思議な気持ちで見つめていた。向かいの席で、毒島は微かな微笑を口に留めながら酒を飲んでいる。つい先…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「ところでよ」 「はい」 「本当の名前は、いつ教えてもらえるんだい」 その言葉に、美空は心持ち首を傾げてみせた。そして、隣に座る男へ視線を向ける。きっちりと折り…
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毒美(サイコダイバーシリーズ)
「やい、美空」 突然そう声をかけられても、美空は驚かなかった。その声の持ち主が毒島であることも、その毒島が背後にいたことにも、彼はずっと前から気がついていたのだ…
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文美(サイコダイバーシリーズ)
文成は今、コンクリートが剥き出しになった部屋で、四肢を拘束されていた。床に固定された椅子に座った姿勢で、両手両足をその椅子に縛り付けられている。 「さすがの私も…
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文美(サイコダイバーシリーズ)
「早く済んで良かったですね」 秋色に染まった街路樹の下を、美空と文成が歩いている。美空の方が二歩分ほど前にいた。そのため、文成からは美空の後頭部が見えている。イ…