一次創作
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遺書代わりの小説8
はじめてあかねちゃんと話した日のことを書こうと思う。 私が三年生の時の真夏日だった。 その日は、母親の友人が朝から家を訪ねてきていた。二人は居間のテーブル…
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遺書代わりの小説7
四年生の頃、一日の終わりにする帰りの会に、「みなさんから」という項目があった。日直の「みなさんから何かありませんか」という号令を機に始まる。 その名の通り、…
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遺書代わりの小説6
その日の中休み、クラスの女子に「四葉のクローバーを探すのを手伝って欲しい」と言われた。私は了承し、放課後にその子と校庭に出て、クローバーがたくさん生えている一…
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遺書代わりの小説5
小学生の頃、私は他人より少しだけ絵や文をかくのが得意だったので、何度か表彰される機会があった。表彰と言っても、ほとんどが全校集会中に壇上でやる程度のものだ。 …
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遺書代わりの小説4
小学生の頃、私はN市の一軒家に、父と母との三人で暮らしていた。 家は、私が保育園児になってから移り住んだものらしいが、狭く窮屈でボロボロだった。四年生の途中…
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遺書代わりの小説3
それは昼休み中のことだった。 私は教室で自席に座り、シール帳を広げてははいじくりまわしていた。小学四年生の頃の担任は寛容で、他のクラスなら禁止されていただろ…
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遺書代わりの小説2
「Aちゃん、音読してるときいっつもふらふらしてる」 あかねちゃんがそう言っていたのをよく覚えている。 国語の時間に行われる「音読」が、私には憂鬱で仕方がなか…