蛮蛇
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人殺したちのたわむれ
初夏の心地よい日だった。日差しは暖かいのに、風はちょうどいい塩梅で冷えている。温まった体の隙間を、ひんやりとした風が吹き抜けていくのはひどく気持ちが良かった。 …
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蛮蛇(犬夜叉)
蛮骨は、自分が産まれた日のことをよく覚えている。 母親の股からひり出されて、眩しい光の下に晒された瞬間から、蛮骨の記憶は始まっていた。そういった記憶を、ただの思…
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蛮蛇(犬夜叉)
「元気出して、お兄さん」 そんな言葉と共に、花を一輪差し出された。名前も知らない、橙色をした百合のような花だった。 花を差し出す女を、蛇骨は無言で睨みつけた。蛇…
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蛮蛇(犬夜叉)
霧の濃い森の中に、蛇骨は一人で立っていた。蛇骨は空を見上げ、木々の間から太陽を見ようとする。けれど、霧に阻まれているために、輪郭の溶けた、ぼんやりした光として目…