魔法使いの約束
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倫理の不在(※R18)
※晶くんと恋人同士だと思い込んでるミと、思い上がってはいけないと思っている晶くんです ※♡喘ぎあります ミスラは愛情表現が独特だ。 賢者とミスラが添い寝を始めて…
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砕け散り、風に吹かれる花みたいにして
冬の昼間だった。空は綺麗に晴れていて、少し乾燥した空気には雪の匂いが含まれていた。 中央の市場はずいぶん賑わっていた。以前ミスラたちと訪れた冬のマーケットほ…
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沈殿と浮上
「なにか欲しいものはある?」 男にそう聞かれて、ほんの一瞬考えた後に「お風呂に入りたいです」と晶は答えた。 「おふろ?」 「はい、昨日からずっとシャワーも浴び…
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神さまみたいなつくりの男
午後の講義が終わって、学生たちが次々席を立っては帰り支度をしている。そんな中で、晶は席に着いたまま、ため息をついて大きく伸びをした。今日はバイトも無い。このま…
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誰かに撒いた餌か毒
恋人から電話がかかってきたのは、午後の仕事がちょうどひと段落した頃だった。着信名を確認し、電話をつなぐ。 「フィガロ?」 雑音越しに聞こえる恋人の声に、思わ…
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水を吐いては息継ぎをする
はじめてそこに連れていかれた日のことを、晶はよく覚えている。晶が小学二年生の時の、冬のように寒い秋の昼間のことだった。 受付をする母親の後ろ姿。いかにも待合…
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残酷で自分勝手な子供みたいに
ここにいる魔法使いのほとんどは、賢者様を子供だと思っているだろう。 そりゃ数百年以上生きていれば、二十数年という時間は瞬きするのと同じくらい短く感じるだろうけど…
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何がどんな風に変わっていただろう
俺が賢者様に聞いてみたいことは、数え切れないほどにある。 「俺のことをどう思ってますか」「俺に触れたいと思ったことはありますか」「俺のことが好きですか」「俺のい…
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倫理形成
あたたかい春の昼下がり、俺はフォルモーント・ラボラトリーの外玄関にしゃがみ込んで、野良猫達と戯れていた。 フィガロの善意によってこのラボで働けるようになった俺は…
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ホログラムの海を泳ぐ
夜の八時、俺はフォルモーント・ラボラトリーのホールに座り込んで、カインが来るのを待っていた。 あの衝撃的な一日からしばらく経った今現在、俺はこのラボの一職員とし…