リオリネ(原神)※R18

 リオセスリさんから注文がある時は決まって面倒くさい。いつもみたいに突然ベッドに押し付けられる方がずっと楽だ。
 ベッドの脇、床に膝をついている自分の視界が、彼の長い脚の膝から下で埋められている。その脚が身に着けているスーツは、下ろしたてのように折り目がきれいについている。そこから視線を上げると、こちらを見下ろす彼の顔があった。彫りの深い、甘い顔立ち。瞳孔だけが黒々としているうすい瞳が、舐めるようにこちらを見つめている。この目が、いつも頭をめちゃくちゃにする。脳みそに手をねじ込まれて、ぐちゃぐちゃにかき回されているような風に頭が真っ白になる。
「先の方だけずっと舐めててくれよ」
 頭を撫でる手が、ぞくぞくするほど気持ちいい。硬く骨ばった指に、相手が男なのだと嫌でも思わせられる。
「久々にリネくんと遊びたいんだ」
 鼻先に突き付けられたモノを一瞬にらんだ後、一息に口に頬張った。反り返った先端が、上顎を擦る。
「先だけって言っただろ?」
 額を押されて、頬張った分を引き抜かれる。
「ほら」
 ちゅぷ、とリップ音がして、先端と唇が離れた。仕方なく、そのまま流れるように何度もキスをする。じわ、と先走りがあふれた。音を立ててそれを吸う。塩味がぼんやりと舌の上に広がった。
 ついばむようなキスと、舌先で舐めるのを繰り返す。唇に触れる怒張が、より硬さを増していくのが分かる。先走りがあふれるほどに雄の匂いが濃くなって、それを嗅いでいるだけで腹の内側でぐじゅりと何かが溶け出していくのが分かった。
「猫に舐められてるみたいだな」
 のんびりとリオセスリさんが言う。こんなに愛撫されてはもどかしいだろうに、表情を窺ってもそうは見えない。自分がもし同じことをされていたら、今すぐにでも入れたいと言い出していただろう。そう思ったらまた、体の中心に滲み出していくものを感じる。
「リネくん、下脱いでみせてよ」
 思考を読まれたのかと思った。咥えたままにらむと、あの薄い微笑を浮かべながら「下着は残していい」と言われる。返事をするのもいやで、膝立ちのままファスナーに手をかけた。時間をかけるのも妙に恥ずかしくて、一気に下におろす。できるだけ下を見ないようにしながらそうした。そこがどうなってるかなんて、見なくても分かる。
「へええ」
 間の抜けた声が頭上から降ってくる。なんだってこんな日に、グレーの下着を履いてきたのだろう。そこには明らかな染みがあるはずだ。舐めまわすような視線が、そこに注がれているのが分かる。体が熱い。下着がより濡れていくのを感じて、慌ててオーラルに意識を注ぐ。
 雄の匂いがいよいよ濃くなってくる。唇を這わせているペニスは、もう固く膨らみ切っていて、その感触だけで変なことで頭がいっぱいになる。
 四つん這いにさせられて、後ろから腕を掴まれて、力任せに突かれるとか、無理やり鏡の前でさせられるとか、見つめあったまま胃がひっくり返りそうなほど深くまで掘られるだとか、そういう妄想が、無意識のうちに頭に浮かんで離れない。その光景が、脳みそを抜け出して体中に張り付いて、じっとりと汗ばませていくみたいになる。シャツの下で、胸の先が硬くなって擦れていくのが分かった。
「随分濡れてるな、リネくん」
「そういうの、女の人に言ってあげてよ」
「なんで女?」
「ぼくより綺麗な女の人に言ってあげなよ」
 リオセスリさんは低い声で少し笑った。そして「リネくんが一番きれいだよ」と言う。
「今まで会った人間の中で、リネくんが一番きれいだ」
「…………」
「な、胸も見せてくれよ」
 リネくんのきれいな体をもっと見たい、と楽しげな声で言われる。催眠にかかったかのように、頭がぼんやりし始めていた。ペニスから口を離す。無言でシャツのボタンに手をかけた。口から垂れる唾液が、シャツに落ちて染みを作る。シャツを開いて、隠れていた鎖骨から腰までが全部あらわになる。外気が胸に触れた。寒い、とは思わない。奇妙な開放感が、頭をよぎった。
「いま、硬くなったな」
 胸に注がれている、ねっとりとした視線に体中が熱くなる。
「そういうの言わないでよ」
「なんで? リネくんの胸、きれいな色してて好きだよ。硬くなると色が濃くなるところも俺は好き」
「………」
「嫌なら、リネくんも言えばいいだろ」
「何を」
「俺のどこが好きかとか、今舐めてるペニスがどんな味かとか、何考えてるのかとか」
「………」
「リネくん、しゃぶりながら目がとろとろになってるの可愛いよ」
 堪らなくなって、ペニスを根本近くまで頬張った。「あ、こら」とまた頭を押し留められる。けれど最初とは違って、そんなに力は強くなくて口に含んだままでいられる。みっしりと硬くなった幹の感触がダイレクトに伝わってきて、頭がおかしくなりそうだった。裏筋に舌を這わせる。先走りで口がいっぱいになっていく。これに後ろから突かれてる妄想をするだけで、体中が満たされていくのを感じる。
「俺に何か、して欲しそうな顔だな」
 視線を上げる。色のうすい目と視線が絡み合った。口からペニスを引き抜く。
「中に入れて。めちゃくちゃにして」
 彼の目をまっすぐに見て、そう言った。彼の言う、「とろとろ」になった顔をしているんだろうと思いながら。