獣の倫理(※R18)

※晶くんの幻覚を作ってセックスするミ/暴力的な行為あり/自分は晶くんに愛されてると確信してるミ の要素ありです

 

昼食を終えたミスラは、自室へ戻ると何をするでもなくベッドに横たわった。じっとしていると、満腹になるまで食べ物を詰め込んだ胃の重さがよく分かる。まるで腹の上に重しでものせられたかのように、ミスラはベッドから起き上がる気力を失くしていた。ぼんやりと横たわったまま、口の中で舌先をねぶり、さっきまで口にしていた料理の味を思い出すなどして暇を潰した。
今日はミスラにとって、珍しく依頼や訓練が無い日だった。そのため、オーエンやブラッドリーを誘ってお茶をするか、オズを倒すために新しい呪術でも試してみようかと、頭の中で予定を立ててみる。しかし、食後特有の気怠さのせいで、どうにも面倒くさいという気持ちの方が勝ってしまう。結局、ミスラはこのままベッドに横たわって、何もしないで過ごすことを選んだ。
あくびを噛み殺しながら、抱き枕へ頬を擦り付ける。すると、慣れ親しんだ匂いがミスラの鼻を掠めた。ミスラは思わず、枕をより引き寄せてその匂いをもっと感じようとする。香ばしくてどこか甘やかなその香りは、昨晩ベッドを共にした賢者の残り香だと、ミスラはすぐに気がついた。
賢者は今頃、東の国で泊まりがけの依頼をこなしているはずだ。最低でも2日はかかると言っており、今朝出発したばかりなので今日はまだ帰ってこないだろう。その間はミスラに添い寝してやれないからと、昨晩賢者の方からミスラの部屋を訪れて、添い寝を申し出たのだ。今朝、ミスラが目を覚ました頃には隣に賢者の姿はなく、既に依頼へ出かけたのだと分かった。
そのため、これから賢者のいない時間を2日は過ごすのだろうと思っていたところに、この匂いを見つけた。まるで、旅先で思いがけず旧友と再会した時のような、ひそやかな喜びがミスラの胸に溢れる。ミスラは枕に顔を埋めたまま、賢者の匂いを楽しみ続けた。
そうしているうちに、ミスラは自身のモノがズボンを押し上げて主張していることに気がついた。それを見て「ああ」と声を上げる。先ほどから体に満ちている、心地よい気怠さと微弱な興奮はこれのせいだったのかと納得したのだ。食欲が満たされたせいで他の三大欲求も主張し始めたのか、それとも賢者のことを考えていたためだろうか。意外に思われるかもしれないが、ミスラは既に賢者という存在が自分の中で「そういうモノ」になっているのを自覚している。添い寝の最中に下腹部が主張することなど今まで何度もあった。ただ、賢者本人は気が付いていなかったが。
それにしても、これをどう発散しようかとミスラは悩んだ。北にいた頃であれば、そこらへんの野生動物を適当に見繕って、殺すか弱らせるかした後、性器をねじ込んで済ませていた。しかし魔法舎に来てからは、そういった行為を魔法舎の周辺ですることは双子に禁止されている。魔法舎から離れたどこかへ空間移動し、発散しようかと考えるも、重い体はこのベッドから動きたくないと告げている。それに、この興奮の元になった存在の姿が、頭にちらついて離れない。これでは、そこらへんの動物を見繕っても充分に満足できなさそうだ。
ミスラは、考えに考え抜いた末、一つの方法を思いついた。ベッドの上で上体を起こし、口を開く。
「アルシム」
呪文を唱えると、ミスラの隣で微風が舞い上がった。次の瞬間には、ここに居るはずのない賢者が、ミスラの隣にちょこんと座っていた。賢者はいつも通りの微笑を浮かべ、大人しくミスラを見上げている。それだけで、ミスラは自身の身体が昂るのを感じた。ミスラは賢者の首筋に鼻を寄せると、すんと匂いを嗅いだ。予想通り、枕に残っていたのと全く同じ匂いがする。本物と大差が無い幻覚を作り出せたことに、ミスラは満足気に笑った。目の前にいる賢者は、質量も匂いもあるものの、実態はミスラが作り出した幻覚である。賢者はにこりと笑うと、ミスラが思い描いた通りに口を開いた。
「会えて嬉しいです。ミスラ」
「俺もですよ」
この賢者は、ミスラの欲望に従って行動する。たった今賢者が口にした言葉だって、そう喋るようにミスラが命じたものだった。
賢者の後頭部に手を添えて引き寄せると、賢者は柔く目を閉じてミスラに全身を預けた。そのまま、互いの唇をぺとりとくっつける。しばらく、蜜の啜り合いのような甘やかな口付けが繰り返されていたが、ミスラの舌が賢者の唇をこじ開けた瞬間から、行為は激しいものへと変わった。ミスラの舌に、賢者の口の中の体温や、舌の柔らかさや、歯のなめらかな感触が伝わってくる。それは以前、賢者が眠っている時に、こっそり口の中へ指を入れて確かめたものと全く同じ温度と感触をしている。
あまりに激しい口付けだったために、口の中で唾液が泡立ち、唇の隙間からこぼれたそれが互いの顎にまで滴り落ちていく。二人の息遣いがどんどん激しくなり、その吐息と唾液が絡み合う音で耳がいっぱいになる。どうしてかそれがひどく心地よいとミスラは思った。最後に、賢者の口の中に溜まった唾液を舌先でかき集め、ごくりと飲み干してミスラはやっと口を離した。賢者の唇は唾液でてらてらと濡れており、まるで一つの性器のように見えた。キスを終えてしばらくしても、二人の息は荒いままだった。
息が整った頃、ミスラは再度賢者を抱き寄せた。肩に触れながら、賢者の顔を覗き込む。星が瞬いているような瞳に見惚れながら、賢者の額にキスを落とした。そして、抱き寄せた手で触れていた賢者の上着を魔法で消す。触れたところから、どんどん服を消していく。額や鼻先に口付けるのに合わせて、黒いベスト、白いネクタイ、薄青のシャツが、一つずつ失われていく。最初から裸にしておけば良かったか、とミスラは一瞬後悔したが、こうして口付けながら脱がしていくのは一種の余興のようで楽しかった。
賢者が全裸になるのに、そう時間はかからなかった。何もかもを曝け出した姿を、ミスラは視界に収める。ミスラは幻覚を作るために、実際の賢者の姿を参考にした。しかし、性器部分だけはベッドを共にしているミスラでさえ見たことがなかった。そのために、そこだけがミスラの想像のみで作られている。ミスラの妄想によって作られた賢者のペニスは、まるで赤子のそれのように綺麗な色をしていて、恥毛にあたるものが一切生えていない。柔く勃ち上がりかけているそれを見て、ミスラは満足気に口の端を釣り上げた。
賢者のペニスに手を伸ばしたミスラは、人差し指と中指でゆるく挟むと上下に扱き始めた。それほどキツく締め付けてるわけでもないのに、賢者は堪らないという風に「あ」と声を上げて全身を震わせる。時折、ミスラの指先にはめたままのアクセサリーが触れるのが気持ちいいらしい。そのたびに小さく身を捩っている。賢者のペニスはすぐに反応し、先端から少しずつ透明な雫を垂らし始めた。ミスラがじっと凝視する前で、賢者はぎゅっと目をつむり、口を必死に閉じて声を出さないようにしている。それでも、ミスラが扱くのに合わせて唇がふるふると震えていた。
気を良くしたミスラは、扱くのを止めると、ペニスを握って人差し指で尿道口を撫で始めた。指の腹で、穴の周りをくるくると撫でる。それは触れるか触れないかくらいの優しい撫で方だったが、賢者には強すぎるほどだったらしい。一気に顔が赤くなり、抑えられなくなった声が半開きの口からひっきりなしに漏れる。溢れ出した先走りのおかげで指の動きが滑らかになり、撫でるたびにくちくちという音が鳴る。腰が無意識に動いているようで、小さく前後に揺らされるために、ミスラの指先へ何度も亀頭が押しつけられる。あまりにいやらしい空腰をする姿に、ミスラは口の中に唾が溜まるのを感じた。
「気持ちいいですか、晶」
その問いかけに、賢者はうっすらと目を開けて頷いた。
「……っ、気持ち、いいです……」
「こんなこと、オズはしてくれないでしょう?オズより俺の方がいいですよね」
「……はい、っオズなんかより、ミスラのほうが、好きっ、大好きです……」
薄く開けた目の中で、涙が滲んで溜まっていく様を、ミスラは眺めていた。目の中に水面が存在しているかのようにゆらゆらと波打ち、ぽろりと溢れて赤い頬を転がっていく。そして、下がり切った眉がきゅうっと寄せられる。おそらく、切なくて仕方がないのだろう。挿入することが前提になっている性器である以上、幹の部分が強く締め付けられなければもどかしくて仕方がないはずだ。そんな賢者の姿に気づかないふりをして、ミスラは限界までぱんぱんに膨れ上がった性器から手を離す。物欲しそうな目をしてこちらを見上げる賢者に、加虐心を煽られながらミスラは自身のベルトに手をかけた。
「あなただけされるのは不公平ですから。今度は俺がされる番ですよ」
そう言って、下着ごとズボンを脱ぎ去る。外へ出されたペニスは、先走りを滲ませて膨張し切っていた。それを見て、賢者はうっとりと目を潤ませる。ミスラはベッドに腰掛け、賢者を床に座らせた。賢者は湿った吐息とともに「大きい」と声を漏らしながら、ミスラのモノに顔を寄せる。
「俺を見て、ミスラはこんなに興奮してくれたんですね」
「そうですよ」
「ああ、すごい……。とっても嬉しいです」
顔を赤らめながら微笑んだ賢者は、目の前の亀頭に口付けた。そして、そのまま喉の奥へと咥え込んでいく。
「んむ、んん……、んふぅ……、ちゅ……」
根元まですっぽりとペニスを咥え込んだ賢者は、頭ごと前後に動かし必死に奉仕した。頭の動きに合わせて、賢者の口の中から唾液と先走りが混ざり合う音が響く。舌で幹に浮いた血管を舐め回すのも忘れずに、ひたすらに没頭している。そんな賢者の姿に、ミスラは興奮と快楽で血液が下腹部に集まっていくのを感じた。頭に血が回らなくなり、まるでもやがかかったように思考がまとまらない。けれど、剥き出しの本能だけは鋭さを増していくように思えた。
ふいに、賢者は唇を窄め、ペニスを口全体で締めつけた。そして、吸いついたまま頭を後ろに引いていく。ちゅぽ、と音を立てながら口を離すと、ピンク色をした小さな舌をだらりと出して、舌先でミスラのモノをくすぐりながらこう囁いた。
「……すみません。下品な男だって、がっかりしましたよね……?」
「いいえ」
ミスラはそれだけ答えて、賢者の後頭部を包むように手を添えた。そして、また喉奥まで咥えるよう催促する。賢者は素直に従い、ペニスを咥えなおした。今度は、頭を前後させるだけではなく、手で陰嚢を撫でたり揉み込んだりする。張り詰めてずっしりと重い陰嚢の感触は、それだけで濃い射精を想像させた。また頭を動かし奉仕を始める賢者の頭に、ミスラは労るように手をのせた。そして、髪を撫でながら掠れた声で問いかける。それに対して、賢者は咥えたまま懸命に相槌を打った。
「嬉しいでしょう。俺のを咥えられて」
「……はぃ、っ……」
「俺のことが大好きですもんね、あなた」
「……ぁ…い……」
「いつか、あなたの腹にブチ撒けてあげますよ。魔法で子宮を作って、それが裂けるまで注いであげます」
「……ん、ふ……」
最後の言葉に相槌は無く、鼻から息が抜けていく音だけだった。しかし、ミスラの言葉を聞いて、賢者はうっとりと顔をゆるめた。その言葉だけで絶頂を迎えたのではと思うくらい、とろとろに融けた表情だった。
「……それと、オズの前で犯してあげましょうか。せっかくだから」
賢者の表情が変わる。それはミスラの言葉のせいでもあったし、ペニスに押し付けられたミスラの足裏のせいでもあった。ぐ、と足裏にわずかに体重をかけられただけで、賢者の表情は険しくなる。額に浮かび始めた汗を眺めながら、ミスラは「口が止まってますよ」と言って自分から腰を動かし始めた。
「……ん゛っ、お゛っ、まっ、て……」
ただ咥え込ませるだけではない、叩きつけるような動きに、喉の奥の奥まで亀頭がねじ込まれる。目を白黒させる賢者に構わず、ミスラは自分の好きなように腰を動かし続けた。同時に、足で賢者のペニスを押し潰したり離したりを繰り返す。そのたびに、まるで叩けば鳴るおもちゃのように、賢者の体は震えてうめき声を上げた。気を良くしたミスラの息は、興奮で徐々に荒くなっていく。
「……っ、いいでしょう?あれは夜ならずっと無力なんですから……。何も怖いことなんて、ありませんよ」
賢者の喉がキツく締まる。酸欠のために、ペニスを口の外へ押し返そうと舌がめちゃくちゃに動く。賢者の荒い息が下の毛に当たるのも、ミスラにとっては心地よかった。
そのうちに、賢者の姿に異変が起き始める。形を保ってはいるものの、体の細部の輪郭が、まるで霧雨のように微細に揺れては崩れていた。快楽に集中し始めたミスラによって、幻覚を作る魔法が雑になったのだ。それでも、ミスラに触れている口の中や勃ち上がったペニスの感触などは、本物の人間と全く変わらない作りを保っていた。
そのうちに、ミスラは物足りなさを覚え始める。獣の性器や喉に挿れて発散してきた身からすると、やはり快感が薄いように感じられた。我慢の限界を迎えたミスラは、賢者の髪を掴むと、そのままベッドに叩きつけるように押し倒した。背中に痛みが走り、かはりと息を吐き出す賢者の上にミスラが覆い被さる。身を乗り出し、賢者の頭を乱暴に掴む。そして口の中にペニスをねじ込んだ。
上から下へ叩きつけるように、ミスラの腰が落とされる。賢者の口から喉奥、もはや食道までがミスラのペニスで満たされた。激しいピストンに、口の中の唾液と先走りが泡立つ。その泡が口の端から溢れていき、白目を剥きかけている賢者の姿は、他者からすると気絶しているようにしか見えなかっただろう。ミスラの体とベッドの間に挟まれて、賢者の頭は何度も叩きつけられては潰される。ミスラの口からは、獣のものとしか思えない唸り声が上がる。その声は、ミスラの中にある獣性がそのまま音を手に入れて形になったような、全ての生物を怯えさせる暴力的な気配を持っていた。ミスラの体を、濁流のような興奮が押し寄せてくる。そこからはもう、ミスラが自分を止めることは不可能だった。
「あ゛、あ゛あ゛あ゛っっ……、晶っ……!」
咆哮を上げながら、賢者の名前を呼ぶ。射精が始まり、賢者の口の中へと精液が注ぎ込まれる。しかし、先走りや唾液すら飲み込めずに口に溜まっていた賢者の口からは、すぐに白い液体が溢れ出し、唇の端から顎や耳へと伝っていった。行為自体が久しぶりだったのもあって、ミスラの精液の量は多く、獣臭さを感じるほどに濃いものだった。賢者の口から溢れ出したのを見ると、ミスラは怒張を口から引き抜いて、仰向けに倒れた賢者の顔へ注いでいく。白い液体を、賢者の前髪に絡め、鼻先に擦りつけ、唇を彩るように塗り付ける。それでも射精が終わらないのを見ると、再度口の中にペニスをねじ込んだ。新しい精液が注がれて、口の中に溜まっていた古い精液が溢れていく。熱を失ってゼリー状へなりかけていたそれらが賢者の顔を伝っていく様を、ミスラは興奮し切った顔で眺めていた。

射精を終えると、かなりの疲れがミスラの体に襲いかかってきた。ミスラは乱れた姿のまま、ベッドに仰向けに横たわり、手の甲で目を覆う。暗闇の中で、ひたすらに目を閉じて呼吸を整え続ける。射精後特有の気怠い達成感が全身に満ち溢れていた。厄災の傷を負う前であれば、心地よい疲労感によって眠れていたはずなのに、今はどうやってもその眠気が降りてこない。長い時間、ひたすらに押し黙って目の裏の暗闇を見続けていたミスラだったが、やはり眠れないのだと分かると、諦めて寝返りを打ち、部屋の惨状を眺めた。
賢者の幻覚は、いつのまにか煙のように消えていた。残ったのは、あちこちに飛び散った精液だけである。魔法を使えば一瞬でそれらを綺麗にできるものの、今のミスラはそれをするだけの気力さえ残っていない。
ミスラは何も掴んでいない手をシーツに這わせ、目当てのものを探そうとする。しかし、当然ながらベッドの上には見当たらない。なにせ、それは今東の国にいるはずなのだから。
はやくかえってきてほしい、とミスラは心から願った。帰ってきたら、いつものように同じベッドに潜り込み、手を繋いで、身を寄せ合って、そしてそこから先は……。ミスラは口の中で舌先をねぶった。もうそこに昼食の名残は無く、欲望に犯された賢者の姿を想起させるだけだった。