銀博♂
-
銀博♂(アークナイツ)
ケルシーという存在は、いついかなる時、どんな場所に立っていても「所在なさげにしている」ことがない。何かしらの使命、もしくは責務があって彼女はここにいるのだと、…
-
銀博♂(アークナイツ)
以前から、シルバーアッシュにはある独特な習慣があった。奇癖とも呼べるものかもしれない。それは、ドクターと二人きりになった際に、ドクターの手首を強く掴む、という…
-
銀博♂(アークナイツ)
初めてドクターの素肌に触れた日のことを、シルバーアッシュはよく覚えている。 細い腕だった。「いま龍門は暑いから、そのせいで肘の内側を搔きこわしちゃって」と彼…
-
銀博♂(アークナイツ)
シルバーアッシュは幼い頃、まったく同じ悪夢を繰り返し見たことがあるらしい。 その夢は決まって彼の――シルバーアッシュ家の屋敷の中から始まる。 夢の中で、彼…
-
ふさわしい相手
「時々考えるんだ」 ドクターはそんな風に切り出した。 「君にはもっとふさわしい相手がいるんじゃないかとね」 「ほう」 言葉を返したのは、ドクターの隣に立つシ…
-
電話
「いると思わなかった」 電話を繋いだ瞬間の、第一声がそれだった。 執務室の卓上に置かれた、アンティーク調の電話機。そこにかけてくる者は限られていた。耳に飛び…
-
遊戯
ビリヤード台の木枠が、照明を受けて濡れたように光っている。ロドス艦内の娯楽室に置かれているものだ。細かな傷はあるものの、高価な代物であると分かる。ここに入院し…
-
シャワールーム
生白い素足だ。 ベッドの上で上体を起こし、眠る友人を見下ろしながら、シルバーアッシュはそう思った。 シーツの上に、白い足が投げ出されている。すぐ隣で眠るド…
-
温室
ドクターは温室にいると聞いて、そこに足を踏み入れて少しもしないうちに、シルバーアッシュは彼を見つけることができた。 青々とした植物に囲まれて、小さな池の前に…
-
口腔
ヒッ、という掠れた声は、目の前で尻餅をつく男の、歯の隙間から鳴ったようだった。 男は小太りの中年で、全体的に薄汚れた身なりだった。顔には垢が浮き、髪は脂っぽ…