「萌え語り」とは何か

自サイトで何度も言及しているように、私は「萌え語り」が好きです。
個人サイト全盛期の頃から、萌え語りページが他サイト様にあると舌を垂らして駆け回る犬のようにそのページへ飛んでいきました。少年漫画系の二次創作サイトにこのページが多かったな~と個人的に思っていて、例えば一人のキャラのみについて語ってるのもあれば、「(作品内に登場する組織の)メンバー全員についての萌え語り」のような、一人につき数千字は超えていそうな萌え語りもあり、特に後者について私は舐めるように読んでいました。メンバー全員についてとなると、ボリュームの多さもさることながら「推しと思っていない人によるそのキャラに対しての印象」を聞くことができるという、昨今のオタクにも理解してもらえそうな楽しさがありました。

このEXTRAページも、そういった萌え語りの一種のつもりで、いろんなキャラクターやオタクコンテンツについての語りを載せています。
が、冷静に考えてみると、若いオタクにとってこの「萌え語り」とは未知の概念なのではないだろうか、とも思いました。
そもそも「萌え」という単語自体が若者の間では「古のインターネット」のものとして把握されている空気があるし、そこに「語り」が続くとなると余計に意味が分からなさそうだ……と思ったので、ここに個人の所感を書いておこうと思い立ちました。

「萌え語り」の基本部分

なんだか仰々しい書き出しをしてしまいましたが、「萌え語り」の基礎部分はSNSのあちこちで見かける長文ツイートとほぼ同じです。
Twitter(現X)では140字という制限があるため、そこまで「語り」という印象はありませんが、特定のキャラ・コンテンツに対してプラスの感情を込めて文章を書いていたら、それはほとんど「萌え語り」に近いと思っています。
これがはてなブログやnoteのような、文字数制限のない場所になってくるとより「萌え語り」らしい文になってきます。
完全に管轄外のジャンルなので見当違いな部分があれば申し訳ないのですが、舞台や観劇についての感想noteなんかは、いかにも「萌え語り」っぽい熱量と文字数でコンテンツへの愛を語ってくれている方が多い印象がある。
あとは2010~2015年あたりのはてなブログでは、ジャニヲタの方たちによるとんでも熱量のブログ記事が日々はてブのトップページに取り上げられていた覚えがあります。ライブツアーのレポだったり、新曲やメンバーの一人ひとりに関する語りだったり……で、全くのジャンル外の私も、興味本位で読んではその熱量に驚かされていました。
しかしこれは私個人が勝手にそういう印象を持っていただけかもしれない……と思って検索をかけたら、なんとニュースサイトでこのまんまな記事があった。

しかし最初こそ140文字の手軽さを重宝していたジャニヲタだが、やがて140文字では物足りなさが増してくる。特に発信欲の強いジャニヲタにとって、140文字は愛を語るには短い。連投する事でその問題は解消されるが、前後の流れを把握されないまま読まれてしまう可能性があるのがTwitterの難点。そこであらためてTwitterと併用する形でブログが投入されるようになった。

140字は愛を語るには短い、素晴らしい言葉だ……。前後の流れを~の部分は、短文SNSが主流の時代でブログやnoteを開設している人たち全員が頷いてくれそうな動機だなあと思いました。

わざわざ「萌え語り」と通称する意図

こんな風にして、「萌え語り」は字面ほど未知のもの感はなく、昨今でいう「長文語り」とほぼ同じものであり、その骨組み部分は個人サイト時代からSNSやブログを通じて、継承されていると思ってもらっていいです。

……とは言ったものの、個人的にはこの令和に「萌え語り」という単語をわざわざ使うような人間は、これらの「長文語り」や「キャラ語り」とはまたちょっと違うものを込めて使ってるんじゃないだろうか、とうっすら思っています。
「長文語り」「キャラ語り」「萌え語り」……呼び方も中身もほぼ同じものだけれど、ここに「萌え」が入ってくるだけで、新たに付属される熱量のようなもの、オタクにとっての的なものがある気がする。
これをどう説明するべきか……と悩んでいたところで、素晴らしい解説記事を見つけたので、共有させていただく。

https://www.paradisearmy.com/doujin/pasok_moegatari.htm

自分の好きなタレントやキャラを ファン の目線で語るだけなら一般の 感想文 などと大差はありませんが、わざわざ 「萌え語り」 と呼ぶ場合は、単に対象を褒めたり魅力について語るだけでなく、しばしば自分がどれだけ好きなのかとか、自分との出会いの話とか、好きになった結果素晴らしい体験や感動を貰った、心から感謝しますなどなど、ちょっとした 自分語り や 妄想 なども含めつつ、「恋愛のおのろけ話」「コイバナ」(恋の話) のような熱量を持っていたり、ほとんどラブレターのような状態になっているようなケースが多いでしょう。

ウオオオオオ~~~これこれこれ! と頷いてしまった。
そうなんですよね。ここにある通り、その書き手さんが「どうやってそのジャンルに出会ったのか」「この作品を楽しんでいる間、どんな思い出ができたのか」を楽しそうに語っているのが含まれて「萌え語り」が完成される……。いわゆる「自分語り」「自我」も含まれているものが、自分にとっては「萌え語り」なんだろうなあと改めて実感できました。
オデは自分以外のオタクが楽しそうにしているのを見るのが好き……。だから萌え語りも好き……。

先述した「萌え語り」に含まれている熱量はやはりこれで、そのアイドルやキャラ・コンテンツに対するシンプルな「ここが好き!」だけでなく「それによって自分がどれだけ救われたか」の声も聞きたいし、書きたいんですよね。
最近は推し文化の発展で、SNS初期時代よりはこういった部分を入れて発言している人が多くなってきた印象があるけれど、どちらかというとテキストではなく「行動」でその熱気を表現しようとしている人が多くなった気がする。いわゆるグッズ大量購入による祭壇とか、どれだけお金を積めたかとか。自分はテキスト文化出身の者なので、文章でその狂いを表現してほしいな~とつい思ってしまう。
昨今だと、SNSのようにゾーニングされていない場所だと「自我を出すな」というような意見が見受けられたりして、まあいきすぎた誇張表現とか、誤解を与えそうな文には注意喚起したくなる気持ちが出るかもね……とその塩梅が難しいところですが、このサイトのような自分から掘り進めなくては視界に入ることもないくらいの僻地では、湧き上がる衝動のままに「萌え語り」を炸裂させていきたいと思います。